2025年5月8日
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「ジェンダー教育」への取り組み 小学生がジェンダー教育を学ぶ意味とは
多様性が重視されつつある現代、ジェンダー平等についての関心が高まっています。学校でも少しずつ性による差別をしない「ジェンダー教育」が取り入れられるようになってきました。ジェンダー教育とは何か、その具体的な取り組みや課題などについて説明します。
性別への思い込みや偏見を防ぐ「ジェンダー教育」

ジェンダー教育とはどのようなものなのか、解説していきましょう。
ジェンダーは生物学的な性差とは異なる
「ジェンダー」というと、いわゆる性差というイメージを持つかもしれませんが、生物学的な性とジェンダーとは意味が異なります。ジェンダーは、社会的・文化的にイメージされている性のことをいいます。たとえば、男性は外へ出て仕事をするもの、女性は家事や育児を行うものなど、社会や文化のなかで作られている意識のことです。
また、性には男女だけではなく、多様な感じ方や考え方があります。生物学的に男性であっても、女性の自覚を持っている場合は、女性として生きていくことが本人の生きやすさにつながります。
ジェンダー教育とは
ジェンダー教育は、性別への思い込みや偏見を防ぎ、多様な性があることを学ぶものです。「男だから強くなければならない」「女だから前に出てはいけない」などの固定観念に苦しめられることなく、子どもたちが自由に自分らしく生きていくことができる社会を目指すのがジェンダー教育です。
ジェンダー教育のメリット
ジェンダー教育を受けると、「男だから」「女だから」という性別による差別意識が少なくなっていきます。また、性によるコンプレックスを持つことも減り、子どもの自己肯定感も高まります。性の多様性を認められるようになり、いろいろな人がいることを知ってお互いへの理解も深まるでしょう。
小学生のうちにジェンダー教育を受ける大切さ

近年広がりを見せつつあるジェンダー教育。なぜ、小学生にジェンダー教育が必要なのか、その背景を説明します。
理解不足によるトラブルの発生
ジェンダー教育を受けていないと、理解不足から自分自身が苦しんだり相手を傷つけてしまったりすることがあります。同性の相手に恋心を抱く自分はおかしいのではないかと悩む、相手の存在を軽視して性的ハラスメントを行うなど、悩みやトラブルが生じやすくなります。
ジェンダー教育がトラブルを防ぐ
ジェンダーに関するトラブルは、知識があることで防げる可能性が高まります。ジェンダー教育で正しい知識が身につくと、知らず知らずのうちに相手を傷つけるようなことはなくなるでしょう。それに伴って、生きづらさを抱える人も少なくなっていくはずです。一人一人が自由にのびのびと生きていく社会を作るためにも、ジェンダー教育は必要といえるでしょう。
小学生にジェンダー教育が必要な理由
ジェンダーへの意識は、子どもが成長していくなかで培われていくものです。感受性の強い子どものときからジェンダーについて学んでいると、性に対する思い込みや偏見を持たずに成長するといわれています。そのためにも、小学生がジェンダー教育を受けることはとても大切なことといえます。
学校や自治体で行われているジェンダー教育の取り組み
ジェンダー教育は、世界のさまざまな国で行われており、日本でも各自治体でいろいろな取り組みがされています。いくつか具体例をご紹介しましょう。
カリキュラムを組んで授業を行う
学年に合わせた教材を作成し、カリキュラムを組んで授業を行います。授業ではスライドを使ってわかりやすく説明したり、ワークシートを使って子ども自身が作業を行ったりします。
豊中市「小・中学生向けジェンダー平等教育啓発教材『With you』」
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/jinken_gakushu/danjokyoudou/suishin/kyouzai.html
大阪府「おおさか男女共同参画プランの子ども向け教材」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o070040/danjo/danjo/kyozai.html
学校生活のなかで工夫する
授業だけではなく、学校生活のなかでもジェンダー平等の工夫が取り入れられています。出席簿を男女混合にする、呼び方を「さんづけ」で統一する、男子は青・女子は赤などの色分けを廃止するなどの取り組みが行われています。
ジェンダーに関する悩みの相談窓口を設置する
性に関する悩みを抱えているとき、相談することのできる窓口の設置も重要な取り組みです。自治体の相談窓口のほか、NPOなどの支援団体でも相談を受けています。
ジェンダー教育を進めるうえでの課題

さまざまな取り組みが進められているジェンダー教育ですが、まだ課題は残っています。どのような問題があるのか見ていきましょう。
大人の理解不足
ジェンダー教育は比較的新しい取り組みなので、大人の理解不足が問題になることがあります。大人は無意識のうちに、男の子には車のおもちゃを与える、女の子にはピンクの服を選ぶといったことをしてしまいがちです。知らず知らずのうちにジェンダーへの偏った見方をしないよう、家庭でも気をつける必要はあるでしょう。
社会の状況が与える影響
世界経済フォーラムが、経済、教育、健康、政治の分野ごとに出しているジェンダー・ギャップ指数では、日本は146か国中118位となっています(※1)。また、男性が優位な社会の状況もジェンダーに関する思い込みを生む一つの原因となっています。
(※1) 「男女共同参画に関する国際的な指数」内閣府男女共同参画局.
https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html
性別にかかわらず、子どもが自由な進路を選べることが大切
男子は理系、女子は文系というのもジェンダーに関する一つの傾向といえます。ただ、近年の日本では、理系に進む女子生徒を応援する動きが活発化しています。性別にかかわらず、子どもの好きな進路を選べるよう社会が少しずつ変わっていくことが期待されます。
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