2023年4月7日
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困った! 子どもの赤ちゃん返り 適切な対応で乗り切るには?
子どもが成長するにつれ、できなかったことができるようになるのを見ているのは楽しいものです。しかしながら、ときにはできていたことが急にできなくなったり、赤ちゃんに戻ったように甘えたりすることもあります。子どもの赤ちゃん返りについて、その原因と対応をまとめます。
赤ちゃんみたいな行動をとるようになる「赤ちゃん返り」とは

赤ちゃん返りとは、子どもが赤ちゃんのころのような行動をとることをいいます。2~3歳ごろの幼児に見られることが多いですが、環境によってはもう少し大きくなってから赤ちゃん返りが起こることもあります。
赤ちゃん返りの具体的な行動には、以下のようなものがあります。
・急に甘えん坊になる
・すぐに怒ったり泣いたりする
・わがままを言う
・哺乳瓶で飲もうとしたりおっぱいをほしがったりする
・赤ちゃん言葉で話す
・できることを「できない」と言ったりできないふりをしたりする
・おむつをはきたがる
・ベビーカーに乗りたがる
「赤ちゃん返り」というと、下に弟や妹ができたときに起こるものというのが一般的なイメージではないでしょうか。ただ、ひとりっこや弟・妹の立場でも、赤ちゃん返りを起こすことはあります。
赤ちゃん返りが起きるのはどんなとき?

赤ちゃん返りが起こるのはなぜなのか、起こりやすい状況とその原因について見ていきましょう。
年下のきょうだいが生まれたとき
年下のきょうだいが生まれると、どうしても赤ちゃんの方に手がかかります。年上の子どもとかかわる時間が少なくなり、なかなか自分にかまってもらえない状況になってしまいます。
子どもは自分が放っておかれている、自分よりも年下のきょうだいの方が愛されているのではないかと感じ、不安になってしまうのです。
そうすると、保護者の愛情を取り戻したい、自分の方を向いてほしいという思いが強くなっていきます。
また、突然「お兄さん・お姉さんらしく」と言われてとまどってしまうこともあります。今まで思う存分甘えることができていたのにがまんをしなければならないことが増え、自分も赤ちゃんに戻りたいと思い、赤ちゃん返りの行動をとるようになるのです。
お母さんが妊娠したとき
お母さんが妊娠して体調が悪くなったとき、十分に子どもの面倒を見られなくなることがあります。具合が悪いとどうしても子どもに対して十分な対応ができなくなることもあります。その対応によって、突き放されたような気持ちになってしまう子もいます。
また、おなかをかばって抱っこができなくなると、子どもはお母さんに拒絶されたと感じてしまいがちです。周囲にも「お母さんが大変だから甘えちゃだめだよ」などと言われることもあるでしょう。
「妊娠している」という状況を理解できず、今までのように優しく接してほしいという思いから、赤ちゃん返りを引き起こしてしまうのです。
環境が変化したとき
子どもは大人が思う以上に環境の変化に敏感です。赤ちゃんが生まれることは、子どもにとって大きな環境の変化となります。
赤ちゃんが生まれたときだけではなく、幼稚園や保育園に入ったとき・保護者が仕事復帰したとき・引っ越しをしたときなども、赤ちゃん返りを起こすことがあります。
子どもが赤ちゃん返りを起こすのは、環境の変化が大きく関わっている可能性もあるのです。
自分でできることが増えたとき
今までできなかったことがどんどんできるようになるのは、保護者にとっても子どもにとってもうれしいことです。ところが、自分でできるようになったことで保護者の手が離れ、さびしさを感じる子どももいます。
たとえば、トイレトレーニングがうまく進んで一人でトイレに行けるようになると、保護者の付き添いがなくなります。子どもは「一人でトイレに行くのはさびしい」という気持ちになり、できるのにできないふりをすることもあるのです。
赤ちゃん返りのとき、やってはいけないNG対応と正しい対応

子どもが赤ちゃん返りを起こしたときは、どのように対応したらよいのでしょうか。まずは、避けたいNG行動からまとめていきます。
子どもを拒絶するNG行動
感情的に怒る
「いい加減にしなさい」「なんでできないの」と、感情的に怒るのはよくありません。子どもは「やっぱり自分のことが嫌いなんだ」と思って、赤ちゃん返りがよりエスカレートする可能性があります。
拒否したりおどしたりする
忙しいときに甘えられたり泣かれたりすると、イライラしてつい「邪魔だからあっちへ行って」「できないなら置いていくよ」などと言ってしまいたくなります。ただ、子どもは保護者に拒絶されることをとても恐れています。うっかり口に出した言葉が、子どもを深く傷つけることもあるため注意が必要です。
甘えを受け入れない
今までできていたことができなくなったり、できないふりをされたりすると「自分でできるでしょ」と、突き放したくなってしまいます。また、年下の子どもの世話で忙しいと、「もう、お兄ちゃん・お姉ちゃんなんだから」と言ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、子どもはお兄ちゃん・お姉ちゃんでいることより、赤ちゃんの方がいいと思って赤ちゃん返りをしているのです。それなのに突き放してしまうと、「甘えたい」「自分に注目してほしい」という気持ちを受け入れてもらえなかったと感じ、大きなショックを受けてしまいます。
子どもの気持ちを満たす素敵な対応
子どもの気持ちに寄り添う
大人を困らせる赤ちゃん返りの行動には「不安」「さびしい」という気持ちが隠れています。その気持ちを理解して受け止めることが大切です。
たとえば、服を着せてほしい、靴を履かせてほしいと言ってきたときはできる範囲で手伝ってあげましょう。手が離せないようなら「これが終わったら手伝うから、少し待っていてね」などと声をかけると、子どもは受け入れてもらえたと感じ、落ち着けるようになるはずです。
スキンシップをとる
できることが増えてきたといっても、まだまだ子どもは保護者に甘えたいものです。ときにはぎゅっと抱きしめたり、頭をなでてあげたりと、積極的にスキンシップをとりましょう。スキンシップは大人も子どもも幸せな気持ちになれる、最良のコミュニケーションです。
子どもと二人だけの時間を作る
赤ちゃん返りの根本にあるのは「愛情を確かめたい」という気持ちです。その気持ちを満たせるよう、ときどき子どもとじっくり向き合う時間がとれるとよいものです。
忙しい中時間をとるのは大変かもしれませんが、周囲と協力しながら時間を作れるとよいでしょう。
子どもの赤ちゃん返りに悩んでしまうという方は多いものですが、適切な対応を続けていれば、多くの場合4~5歳ごろまでにはおさまるといわれています。
子どもの成長とともにおさまっていくものと考え、悩みすぎず前向きにとらえていけるとよいでしょう。