2023年9月7日
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子どもの「考える力」をはぐくむために 家庭でできる思考力アップのコツ
さまざまな技術の進歩により、将来は、人工知能(AI)などによってなくなる仕事もあるといわれています。そのため、これからを生きる子どもたちに、社会がどのように変化しても対応できる「考える力」は必須の力といえるでしょう。考える力を伸ばすためにはどのようなことができるのか、考えていきましょう。
時代の変化や生活するうえでも必要となる「考える力」
近年、特に考える力が重視されるようになってきた理由について見ていきましょう。
インターネットやAI(人工知能)の発達
インターネットの発達によって世の中はとても便利になりました。一方で、さまざまな情報源や根拠がわからないものに惑わされず、じっくり考えて正しい情報を見極める力も必要とされています。
また、AI(人工知能)の発達で、単純な作業は人間がやらずに済む世の中になりつつあります。言いかえれば、人間が思考力を発揮して、うまくAIを使いこなしていかなければならないということでもあります。
子どもたちが社会に出るころには、さらに技術が進んでいることを考えると、子どものうちから考える力を育てることはとても重要な意味を持つといえるでしょう。
コミュニケーション能力が高まる
相手の状況や気持ちを考えられるようになると、自己中心的な判断が少なくなります。たとえば、友達に声をかけたのに返事をしてくれなかったとき、「なんで返事をしてくれないの?」と否定的にとらえるのではなく「何か考え事をしていたのかな」と考えられるようになると、トラブルに発展することはないでしょう。一歩踏み込んで考える力は、コミュニケーション能力の向上にもつながります。
学習意欲が高まる
考える習慣がつくと、学習意欲にもよい影響を与えます。学習内容がうまく理解できなかったとき、考えることをやめて「わからないからもういいや」と投げ出すと、そのまま学習意欲が低下してしまいます。しかし、「どこがわからないんだろう?」とわからなかった部分をそのままにせず理解しようとすると、より学習意欲が高まっていくでしょう。
学習指導要領の改訂
2020年に改訂された小学校の学習指導要領では、「新しい時代に必要となる資質・能力」のひとつに「思考力」があげられています(※)。
教育現場でも、暗記をして知識をつけるだけではなく、自分で考えて判断したり表現したりすることが重視されてきているのです。
中学・高校・大学の入学試験でも、知識をもとに「自分がどう思うか」を問う問題が増えてきています。
※文部科学省「新学習指導要領の全面実施と学習評価の改善について」
https://www.mext.go.jp/content/20202012-mxt_kyoiku01-100002605_1.pdf
子どもの考える力を伸ばすために、保護者ができることとは
子どもの考える力は、日ごろの会話の中ではぐくまれていきます。具体的にどのようなことに気をつければよいのかご紹介していきます。
子どもの疑問や気づきを大切にする
子どもは好奇心が旺盛で、さまざまなことに疑問を持っています。「なぜ?」「どうして?」と質問してきたときが、考える力を育てるチャンスです。
また、大人だと気づかないような些細なことに気づいて、保護者に教えてくれることもあるでしょう。
継続したコミュニケーションは少し大変かもしれませんが、できる範囲で会話が続けられるとよいでしょう。どうしても手が離せないときも適当にあしらわず、「これが終わったらお話ししようね」と、待ってもらうようにするとよいでしょう。
子どもの質問に疑問で返す
子どもが何か質問してきたとき、「どうしてだろうね?」と、疑問で返すのもよい方法です。大切なのは「正解」ではなく、どうしてそうなるのかを考える「過程」です。
何か答えが出たら「それはどうしてそうなるんだろう」とさらに質問を重ねると、子どももさまざまな可能性を考えるようになるでしょう。
具体的に質問する
「学校どうだった?」のように漠然とした質問をすると、子どもは「普通」「いつもと同じ」という回答をするのみで、会話が終わってしまいます。保護者から何か質問するときは、できるだけ具体的に問いかけるように心がけましょう。
たとえば、「今日の20分休みはサッカーをしたの?」など、子どもが答えやすいような問いかけをしてみます。さらに会話の中で、勝ったのか負けたのか、なぜ今日もサッカーで遊ぶことになったのか、サッカーでパスが通らなかったのはなぜか、など深堀りして質問していくと、子どもも思い出しながら話してくれるはずです。
ヒントを出してみる
日常生活の中で疑問を持ったことに対して、いろいろ考えてもなかなか答えが出てこないと、子どもは考えるのをあきらめてしまうこともあります。そのようなときは、少しヒントを出してみてもよいでしょう。ヒントをきっかけに、子どもなりに答えが見えてくることもあるはずです。
一緒に考えたり調べたりする
ときには子どもの疑問に答えられないこともあるかもしれません。そのようなときは、子どもと一緒に考えたり調べたりするのもおすすめです。答えがわかっていても「調べてみようよ」と誘ってみるのもよいでしょう。保護者が一緒に取り組んでくれることで、子どもは考えることが楽しくなるはずです。
「考える力」を育てるために気をつけておきたいこと
保護者の接し方によっては、かえって子どもの考える力を奪ってしまうこともあります。考える力を育てるうえで、保護者が気をつけておきたいことについてまとめます。
すぐに正解を教えない
子どもにたくさんの知識を持ってほしいという気持ちもわかりますが、すぐに答えを教えると、子どもは考えることをやめてしまう可能性があります。
子ども自身で考えて導き出した答えの方が、知識としてより記憶に残りやすいものです。いったん「どうしてかな?」という質問をはさみ、子どもに考えさせる習慣をつけましょう。
子どもの考えを否定しない
子どもの考えが間違っていることも当然あるでしょう。ただ、すぐに間違いを指摘すると、「どうせ間違っているから」と、考えることに否定的な感情を持ってしまうこともあります。「そういう考え方もあるね」と、いったん子どもの考えや考えた過程を受け入れたうえで、なぜその考えに至ったのか、さらには、別の可能性もあることを話し合っていくとよいでしょう。
答えを急かさない
考えるのに時間がかかっていたりなかなか正解にたどり着かなかったりすると、耐えきれずに答えを教えたくなることもあるかもしれません。また「早く答えて」などと、急かすのもよくありません。
時間をかけて考えることが、考える力を育てることにつながります。ゆっくり考えさせることを意識するようにしましょう。
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