2024年6月29日
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台風が起こるメカニズムとは? 発生までの流れをわかりやすく解説
夏から秋にかけて日本にやってくる台風は、ときに人々の暮らしに大きな被害をもたらし、自然の脅威を感じさせるものです。災害級の雨と風をもたらす台風は、どのように発生するのでしょうか。台風が発生するメカニズムについて、詳しくみていきましょう。
激しい雨や風をもたらし、災害を引き起こすこともある「台風」

まずは、台風とはどういうものなのか、確認しておきましょう。
台風とは
台風は、熱帯地域の海上で発生する「熱帯低気圧」が発達したものです。大雨や暴風が起こり、高波や高潮、河川の氾濫や土砂崩れといった大きな自然災害をもたらすことがあります。また、地球の自転に伴い、北から北西へ向かって移動する性質があります。
台風が発生する場所
台風が発生するのは、赤道より北の東経180度より西側にある北西太平洋上、または、南シナ海です。この地域で発生する熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が秒速17.2 m以上の熱帯低気圧を「台風」と呼びます。
「サイクロン」「ハリケーン」「タイフーン」との違い
台風と同じようなものに「サイクロン」「ハリケーン」「タイフーン」があります。いずれも台風と同じ熱帯低気圧ですが、違いは発生する場所や強さによるものです。
サイクロン
アラビア海・ベンガル湾などの北インド洋で発生し、最大風速が秒速17.2 m以上のもの。
ハリケーン
カリブ海・メキシコ湾・北大西洋・西経180度より東の北東太平洋で発生し、最大風速が秒速32.7 m以上のもの。
タイフーン
北太平洋で発生し、最大風速が秒速32.7 m以上のもの。
熱帯地域で生まれた雲が集まって台風になる

それでは、台風が発生するメカニズムを見ていきましょう。
熱帯地域の海から水分が蒸発する
暑い地域の海水温は、強い日差しを受けて27度以上と高く、海の表面からは多くの水分が蒸発しています。また、熱帯地域の上空には貿易風が吹いており、上昇気流を発生させやすい条件が整っています。そのため、蒸発して水蒸気となったたくさんの水分は、どんどん空へと上っていきます。
水蒸気が冷やされて雲ができる
空に上っていったたくさんの水蒸気は、気温の低い上空で冷やされて小さな水滴となります。この水滴が集まってできるのが雲です。このようにして、熱帯地域の上空には強い雨を降らせる積乱雲などの巨大な雲が発生します。
雲が渦を巻いて集まり台風になる
水蒸気が雲の中で水滴になるときに、大きな熱が発生します。この熱が空気を温めて上昇気流をさらに加速させ、周囲の空気を巻き込んで風を発生させます。ここに、地球の自転が加わって左回りの風の渦が引き起こされます。こうしてできるのが熱帯低気圧です。
熱帯低気圧のもととなる水蒸気は海の表面から絶えず補給されるため、その勢力はどんどん強くなっていきます。このサイクルがくり返されることで熱帯低気圧はさらに強まり、台風へと成長していくのです。
夏から秋にかけて日本に台風がやってくる理由
夏から秋にかけて、台風が日本に接近しやすいことはよく知られています。これは、太平洋高気圧や貿易風の影響と考えられています。熱帯地域で発生した台風は、日本に夏をもたらす太平洋高気圧の縁にそって北上し、その後北東へと進みます。この太平洋高気圧が夏から秋にかけて日本付近に居座ることが多いため、台風は日本に接近・上陸しやすくなるのです。
台風の目を中心に構成されている「台風の構造」について
「台風の目」に入ると、一時的に雨や風がやむという話を聞いたことはあるでしょうか。なぜそのようなことが起こるのか、台風の構造から説明していきましょう。
台風の目とは
台風は、ぐるぐる回る巨大な空気の渦巻きです。強い風が台風の中心に向かって吹き込み、中心部分の空気はものすごいスピードで回転しています。回転が速いせいで、外側に引っ張られる遠心力が強く働き、雲は中心部から外へと飛ばされてしまいます。遠心力が強いと風も吹き込めなくなるため、その部分が台風の目となるのです。
台風の構造
台風の目の中は、雲もなく風も弱い状態です。しかし、その周囲は強い積乱雲に囲まれ激しい暴風雨が起こっています。その外側には強い雨を連続して降らせる雲があり、さらにその周囲を発達した雨雲が覆っています。台風はこのような構造でできており、強い雨風を発生させます。
台風の目に入っても油断しない
台風の目の中では雨や風がおだやかになることもありますが、その周囲は暴風雨を引き起こす雨雲に囲まれています。台風の目が通り過ぎると再び雨や風が強くなるため、引き続き注意が必要です。台風が発生したときには気象情報に注意して、安全を図るよう心がけましょう。
台風についてより詳しく知りたいときは、図鑑や学習教室の活用も
熱帯地域の海の上で発生した水蒸気が雲になり、暴風雨を起こす台風を発生させるメカニズムを説明しました。また、上空を流れるさまざまな風の種類や気圧の配置、地球の自転などが台風の動きに影響することもわかりました。
台風についてより詳しく知りたいときは、図鑑や本で調べたり、学習教室を活用したりするとよいでしょう。学習教室をお考えの際は、お子さまの知的好奇心をぐんぐん伸ばすサポートを行う学研教室をぜひお選びください。
監修者:くぼてんき
監修者プロフィール
気象予報士、防災士、こども環境管理士、紙芝居師。東京都が認定する大道芸人ヘブンアーティスト。
1983年生まれ、大阪府出身。
学校・イベントなどで「天気」「環境」「防災」をテーマにした出張紙芝居や講演などを行う。
髪型は入道雲をイメージ。二児の父。
2016年4月~2019年3月、テレビ神奈川の気象キャスター。
2019年4月~、日本テレビ「ZIP!」の気象キャスターとして出演中。
