2024年7月17日
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教育分野で大注目の「メタ認知能力」 子どものメタ認知能力はぐくむために
「メタ認知」は、多様化する社会で生きていくうえで必要になる力といわれています。最近は、教育の分野でも注目を集めており、子どものメタ認知をはぐくむことに関心を寄せる保護者も増えてきました。メタ認知の能力を鍛えるためには、どのようなサポートをすればよいのでしょうか。
客観的な視点で自分を見ることができる「メタ認知」の力
そもそもメタ認知とはどのような能力なのでしょうか。詳しく解説していきます。
メタ認知とは
メタ認知は、主観ではなく客観的にものごとを見る力のことをさします。何かに腹を立てているとき、メタ認知の力が弱いと怒りの感情でいっぱいになり冷静になれなくなりますが、メタ認知の能力が高いと、怒りの原因を「なぜ腹が立ったのか」と冷静に分析することができます。
メタ認知能力が高いと、広い視野でものごとを見ることができるようになり、問題点や改善点に気づきやすくなります。学習をすすめるうえでも、人間関係を良好に保つうえでも役立つ力といえるでしょう。
年齢が上がるごとに高まるメタ認知能力
幼い子どもは、ものごとを自分の視点のみで見ることが多く、すぐに泣いたり怒ったりすることが多いものです。しかし、成長とともに自分の視点からだけではなく、「このような行動をとったら周囲にどのように思われるか」などを考えられるようになっていきます。一般的に、年齢が上がるごとにメタ認知能力は養われていきます。
学習指導要領でも取り上げられているメタ認知
子どもにとってのメタ認知が注目され始めたのは、2020年度に発表された学習指導要領への記載が背景にあるようです。学習指導要領には、「学びに向かう力や人間性を育てるうえでメタ認知に関わる力が必要」といった内容が記載されています(※)。義務教育の中でも、メタ認知は重要な力として考えられていることがわかります。
(※)文部科学省 4.教育課程の実施と学習評価
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01500.html
メタ認知能力が高い子は、冷静に問題点を見つけて解決する力がある
メタ認知の能力が高い子どもには、どのような特徴があるのでしょうか。
自分が置かれている状況を冷静に把握できる
自分が置かれている状況が把握できていないと、深く考えず、場当たり的な行動をしてしまいがちです。メタ認知能力が高いと、状況を客観的にとらえることができるため、次にどのような行動をしたらよいかがわかり、適切な対応をとることができます。
問題点を見つけ、改善することができる
状況を上手に把握する力があるため、どこに問題があるのか見つけることも得意です。問題を見つけることができれば、それをどのように改善していけばよいかを考えることもできるでしょう。問題解決能力は、学習をすすめるうえでも、日常生活をスムーズに送るうえでも、大切な力といえます。
少し先の未来を予想して行動できる
メタ認知能力は、少し先の未来を予測して、適切な行動をとるうえでも役立ちます。たとえば宿題に取り組む際、メタ認知能力が低い子は、単にその日出された分を終わらせようという気持ちで取り組みがちです。メタ認知能力が高い子は、今日の宿題が明日のテストに関わることを予測して、どこを重点的に学習したらよいかを考えながら宿題に取り組むことができるのです。
自分で考えて行動できる
子どもは、保護者や先生に言われたことが、今後どのように役立つのかまで思いが至らず、言われるままに行動してしまうことがあります。しかし、メタ認知能力が高い子どもは、大人に言われたことの意味を自分なりに考え、噛み砕いて理解し、行動に移すことができます。そのため、結果にはおのずと違いが現れるものです。
感情のコントロールができる
何か問題が起こったとき、焦ったり怒りがこみ上げたりすることもあるでしょう。そのようなとき、感情的な対応をとると人間関係に影響することがあります。メタ認知能力が高いと、客観的に自分を見つめることができるため、大きなトラブルに巻き込まれる可能性が低くなります。
家庭でできるメタ認知能力の鍛え方
子どものメタ認知能力は、家庭での対応によって鍛えていくことが可能です。その方法について、ご紹介しましょう。
その日1日の振り返りをしてみる
学校でどのようなことがあったのか、友達とどのような話をしたかなど、その日1日を子どもに振り返ってもらうのがおすすめです。なんとなくやり過ごしてしまう日常を、冷静に思い起こす練習になるからです。なぜそのようなことが起きたのか、自分の対応はどうだったかなど、子ども自身に考えさせることでメタ認知能力がはぐくまれていきます。また、それらを日記に書いてもよいでしょう。文字にすることでより客観視できるようになります。
先回りして指示を出し過ぎない
先回りして指示や命令を出してばかりいると、子どもは保護者の言う通りにしていればよいと思い、自分で考えることをしなくなる可能性があります。メタ認知能力を高めるには、ある程度子どもの判断にまかせ、手を出し過ぎないことも大切です。
別の方法や考え方を提示する
子ども自身で考えることは大切ですが、一つの考えに固執してしまうと、メタ認知能力はなかなかはぐくまれていかないものです。子どもと話をするときは、子どもが考えている以外の解決方法や、考え方があることを示唆することも大切です。別の視点からものごとを見る姿勢が、メタ認知能力を高めることにつながります。
計画を立てる習慣をつける
少し長い目でものごとを見られるようになると、今の自分を客観視することができるようになります。そのためには、目標を決めて計画を立てる習慣をつけるのがおすすめです。少し先の目標があれば、今、自分が何をしたらよいのかがわかるでしょう。
メタ認知能力は大人になってからも必要になる力
子どものときだけではなく、大人になってからも必要となるメタ認知能力。家庭での関わり方を大切に、子どものメタ認知能力をはぐくんでいけるとよいでしょう。
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