2025年3月22日
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子どものキャリア教育をサポートする「キャリア・パスポート」とは?
2020年度からキャリア教育の一環として始まった「キャリア・パスポート」。ただ、実際に学校で、どのようなことをしているのかよくわからないという方もいるかもしれません。キャリア・パスポートが始まった背景や、子どもにとってどのような意味があるのかについてまとめます。
キャリア・パスポートとは? キャリア教育の意味と導入された背景

まずは、キャリア・パスポートの意味や、その目的などについて解説していきましょう。
キャリア・パスポートとは
子どものキャリア教育に関わる活動をまとめた資料を「キャリア・パスポート」といいます。地域や学校によっては「ポートフォリオ」「キャリアノート」などと呼ぶこともあります。資料の作り方は各学校にまかされているため、ノートやファイルなど、まとめ方はさまざまです。教科学習の評価だけではなく、学級活動や特別活動での様子など、子どもが取り組んださまざまな活動についてまとめられ、中学や高校へと引き継がれていきます。
キャリア教育とは
そもそもキャリア教育とはどのようなことを指すのでしょうか。文部科学省の中央教育審議会では、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と、定義しています(※)。つまり、子どもが将来自立して生きていくために、必要な力を身につけるための教育ということになるでしょう。子どもの発達段階にそって活動を記録し、それを積み重ねることで、子ども自身が自分の得意なことや向いていることを理解し、将来へ生かしていくことを目標にしています。
(※) 中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」<抜粋>.文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1303768.htm
キャリア・パスポートが導入された背景
キャリア教育は、単なる職業体験や学力に応じた進学先・進路選びといった狭い意味でとらえられてしまうことがあり、実際に社会に出たときにミスマッチが起こるケースもありました。そこで、それぞれの子どもに合った職業選択のために、学びのプロセスを記録する重要性が唱えられるようになったのです。蓄積された学びを折々に振り返ることで、子どもも自分の適性を知ることができるようになります。自分に合った進路を選ぶことで、主体的に学びに取り組む姿勢が身につく効果も得られるでしょう。
ワークシートの活用などでキャリア・パスポートを作成していく

それでは、キャリア・パスポートの実際について見ていきましょう。
ワークシートを用いたキャリア・パスポート
小学生の場合、一つの体験活動が終わったときや、学期や学年の区切りなどで、キャリア・パスポートを作成することが多いようです。
たとえば、ワークシートを使い、学期の始まりに「がんばりたいこと」「そのためにどのような目標を立てたらよいか」「自分の得意なこと」などを書き、学期の終わりに「がんばったこと」「できるようになったこと」「次の学期でがんばりたいこと」などを記入するといった形です。
また、学習、友達との関係、学校生活などの項目を立てて、それぞれ計画や成果などを記入していくこともあります。
日記や作文などをまとめる
学年が上がってくると、日記や作文にしてまとめることもあります。日々の教科学習や体験学習、クラブ活動、ボランティア、家庭での役割、習い事など、さまざまな体験を文章にまとめる過程で、自分のよい面や得意なことなどがわかるようになっていきます。やがて、それが将来の夢や進路の選択などにつながっていくでしょう。
先生や保護者からのコメント
子どもが記入したキャリア・パスポートに、先生や保護者からのコメントを入れることもあります。先生からよかったところを認めてもらったり、保護者に励ましてもらったりすることで、子どものやる気がアップします。
中学・高校まで活用する
小学校のキャリア・パスポートは、中学・高校へと引き継がれるのが大きなポイントです。小学校入学から高校卒業までの12年間の記録が、子どものキャリアを形成していくうえで大切な材料となるのです。
保護者の仕事について話をするのもキャリア教育の一つ

キャリア教育には、家庭での関わり方も影響します。どのようなことを心がけるとよいのでしょうか。
キャリア・パスポートの内容について話し合ってみる
子どもが学校で作成してきたキャリア・パスポートに保護者のコメントを書くときには、内容について子どもと話してみるのがおすすめです。子どもががんばろうと思っていることに共感し、そのためにどのようなことができるか話し合ってみてはいかがでしょうか。子どもは保護者の応援を実感して、より自発的に活動に取り組んでみようと思うはずです。
保護者の仕事について話してみる
将来の仕事について具体的なイメージを持つのは、子どもには少し難しいところがあります。仕事へのイメージを掴む一つの方法として、保護者の仕事を子どもに話してみるのもよいでしょう。保護者の仕事が社会の中でどのような役割をしているのか、また、具体的な仕事の内容などを話すと、仕事へのイメージが広がるはずです。保護者が働いているおかげで、日々の生活ができることも感じられるようになるでしょう。
たくさんの経験をする
子どもの興味の幅を広げるうえでも、さまざまな経験をすることが大切です。旅行や自然体験、美術館や博物館、イベントや習い事など、いろいろな経験ができるとよいでしょう。多くの経験の中から、子どもの好きなことや得意なことが見つかり、将来へとつながることもあるはずです。
キャリア・パスポートの活用で、子どもの自己理解を深める
キャリア・パスポートは学校を中心に行われる教育ですが、家庭でもさまざまなサポートをしていくことができます。子どもの将来を見据えて、家庭でできることについても考えてみてはいかがでしょうか。
キャリア・パスポートを活用することで、子どもはより自己理解が深まり、自主的に学習へ取り組むことができるようになります。お子さまの学習意欲をさらに高めるサポートとして、信頼と実績の学研教室をぜひご活用ください。